○豊田市不良な生活環境を解消するための条例

平成28年3月30日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は、不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関し必要な事項を定めることにより、その状態の解消を図り、もって市民が安心して暮らすことのできる安全で快適な生活環境の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)のうち、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第2条第1項に規定する空家等を除いたものをいう。

(2) 空き地 宅地化された土地又は住宅地に隣接する土地で、現に工作物その他の物件が設置されていないもの又はその部分をいう。

(3) 占有者等 建築物等及び空き地の占有者、所有者及び管理者をいう。

(4) 不良な生活環境 建築物等又は空き地における物の堆積若しくは放置、多数の動物(規則で定める動物に限る。)の飼育、これらへの給餌若しくは給水又は樹木若しくは雑草の繁茂等により、当該建築物等若しくは空き地又はその周囲の生活環境が衛生上、防災上又は防犯上支障が生じる程度に不良な状態をいう。

(基本方針)

第3条 不良な生活環境の解消は、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。

(1) 原則として、建築物等又は空き地の占有者が行うこと。占有者が行うことが困難であると認められるときは、所有者又は管理者が行うこと。

(2) 占有者等のみによっては解消が著しく困難であると認められるときは、市及び住民組織等(住民組織及び関係行政機関その他の関係者をいう。以下同じ。)が協力して行うこと。

(3) 生活環境の悪化を防止するため、速やかに行うこと。

(4) 不良な生活環境の背景に地域社会における占有者の孤立その他の生活上の諸事情があることに配慮して行うこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本方針にのっとり、不良な生活環境の解消を推進しなければならない。

(市民及び占有者等の責務)

第5条 市民及び占有者等は、不良な生活環境を生じさせないよう、その占有し、所有し、又は管理する建築物等及び空き地の適正な管理に努めなければならない。

2 市民及び占有者等は、この条例の目的を達成するため市が実施する取組に協力するよう努めなければならない。

(住民組織の責務)

第6条 住民組織は、第3条の基本方針にのっとり、不良な生活環境を解消するための取組に協力するとともに、市民が安心して暮らすことのできる安全で快適な生活環境の確保に向けて積極的に取り組むよう努めなければならない。

(地域等との連携)

第7条 市は、市民及び住民組織等と、この条例の目的を達成するため、相互にその果たす役割を理解し、連携して取り組むものとする。

2 市は、不良な生活環境を解消する必要があると認めるときは、住民組織等から広く意見を聴くよう努めなければならない。

(相談及び助言)

第8条 市は、不良な生活環境を解消するための取組について、占有者等又は住民組織等からの相談に応じ、これらの者に対し、必要な助言を行わなければならない。

(支援の方法)

第9条 市は、占有者等の意思に従いつつ、必要に応じて住民組織等と協力して、不良な生活環境を解消するための支援を行わなければならない。

2 前項の支援を行う場合において堆積している物があるときは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱いの形態、取引価値の有無、占有者等の意思その他の事情を総合的に勘案し、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)とその他の物とを分別するものとする。

3 第1項の支援を受けた者は、規則で定める場合を除き、当該支援に要した費用を負担しなければならない。

4 前項の費用の額は、規則で定める算定基準に従い、市長が算定して通知する額とする。

(支援の際の留意事項)

第10条 市が行う不良な生活環境を解消するための取組は、前2条の規定による支援を基本とし、これと第12条から第15条までの規定による措置とを適切に組み合わせて行われなければならない。

(不良な生活環境を解消する義務)

第11条 占有者等は、不良な生活環境を生じさせたときは、速やかにその状態を解消しなければならない。

(指導及び勧告)

第12条 市長は、不良な生活環境にある建築物等及び空き地の占有者、所有者及び管理者に対し、当該建築物等及び空き地に関し、不良な生活環境を解消するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。

2 市長は、前項の指導をした場合において、なお不良な生活環境が改善されないと認めるときは、当該指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、不良な生活環境を解消するために必要な措置をとることを勧告することができる。

3 市長は、前項の規定による勧告をしようとするときは、その勧告をしようとする者に対し、適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

(命令、公表等)

第13条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

2 市長は、前項の措置を命じようとするときは、あらかじめ、第16条に規定する審議会の意見を聴くものとする。

3 市長は、第1項の規定による措置を命じられた者がその措置を履行しないときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 命令を受けた者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び代表者名並びに主たる事務所の所在地)

(2) 不良な生活環境にある建築物等又は空き地の所在地

(3) 不良な生活環境の内容

(4) 命令の内容

(5) その他市長が必要と認める事項

4 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、豊田市行政手続条例(平成9年条例第1号)第3章第3節に規定する弁明の機会の付与の例により、同項に規定する者に意見を述べる機会を与えなければならない。

(代執行)

第14条 市長は、前条第1項の規定による措置を命じられた者がその措置を履行しないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い、その者の負担において、その措置を自らとり、又はその命じた者若しくは委任した者にとらせることができる。

2 市長は、前条第1項の規定により措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第12条第1項の指導又は同条第2項の勧告が行われるべき者を確知することができないため前条第1項に定める手続により命令をすることができないときを含む。)は、その者の負担において、その措置を自らとり、又はその命じた者若しくは委任した者にとらせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置をとるべき旨及びその期限までにその措置をとらないときは、市長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置をとるべき旨を、あらかじめ公告しなければならない。

3 前項前段の措置をとろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 市長は、第1項及び第2項の規定による代執行をしようとするときは、あらかじめ、第16条に規定する審議会の意見を聴くものとする。

5 第9条第2項の規定は、第1項及び第2項の規定による代執行を行う場合について準用する。

(緊急安全措置)

第15条 市長は、不良な生活環境に起因して、人の生命、身体又は財産に危害が及ぶことを避けるため緊急の必要があると認めるときは、これを避けるために、必要最小限の措置を自らとり、又はその命じた者若しくは委任した者にとらせることができる。

2 前項の措置をとろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第9条第2項の規定は、第1項の措置をとる場合について準用する。

4 占有者等は、規則で定める場合を除き、第1項の措置に要した費用を負担しなければならない。

5 第9条第4項の規定は、前項に規定する者が負担する第1項の措置に要した費用について準用する。

(審議会)

第16条 市長は、不良な生活環境を解消するための支援及び措置の内容を審議させるため、市長の附属機関として、豊田市不良な生活環境を解消するための審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じて、不良な生活環境の認定及びその解消について、市長に意見を述べることができる。

3 審議会は、前項に定めるもののほか、不良な生活環境に関する専門的な事項について、調査し、又は審議するとともに、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員7人以内をもって組織する。

5 審議会の委員は、学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから市長が委嘱する。

6 委員の任期は3年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

7 審議会の委員又は委員であった者は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(調査、報告の徴収等)

第17条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、不良な生活環境にある建築物等又は空き地の占有者の心身の状態、親族関係、就労の状況、法令に基づく給付の受給の状況その他その者に関する事項について、必要な調査をし、又はその者に対し報告を求めることができる。

2 市長は、建築物等及び空き地が不良な生活環境にあり、又はそのおそれがあると認めるときは、占有者等に対し、当該建築物等及び空き地の使用及び管理の状況について報告を求めることができる。

3 市長は、この条例の規定に基づく事務に関し、関係行政機関又は関係地方公共団体に対し、照会し、又は協力を求めることができる。

(立入調査等)

第18条 市長は、建築物等及び空き地が不良な生活環境にあり、又はそのおそれがあると認めるときは、市長が指定する職員に、当該建築物等及び空き地に立ち入り、その状態を調査させ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入調査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

4 市長は、占有者等が第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 占有者等の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び代表者名並びに主たる事務所の所在地)

(2) 不良な生活環境にある建築物等又は空き地の所在地

(3) 不良な生活環境の内容

(4) その他市長が必要と認める事項

5 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、豊田市行政手続条例第3章第3節に規定する弁明の機会の付与の例により、同項の占有者等に意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第19条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

(過料)

第20条 第13条第1項の規定による命令に違反した者は、5万円以下の過料に処する。

第21条 第18条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、3万円以下の過料に処する。

(施行期日)

1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。ただし、第20条及び第21条の規定は、同年7月1日から施行する。

(豊田市の環境を守り育てる条例の一部改正)

2 豊田市の環境を守り育てる条例(平成18年条例第6号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

豊田市不良な生活環境を解消するための条例

平成28年3月30日 条例第2号

(平成28年7月1日施行)