○豊田市伝統的建造物群保存地区保存条例
平成22年9月30日
条例第52号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第2項の規定に基づき、本市における伝統的建造物群保存地区を定め、当該地区の保存のため現状変更の規制その他必要な措置を講ずることにより、伝統的な集落や町並みの景観を保存し、もって本市の文化の向上に資することを目的とする。
(1) 伝統的建造物群 法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。
(2) 伝統的建造物群保存地区 法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。
(3) 伝統的建造物 伝統的建造物群保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物をいう。
(4) 建造物 伝統的建造物及び伝統的建造物群保存地区内における伝統的建造物以外の建築物その他の工作物をいう。
(5) 環境物件 伝統的建造物群保存地区内における伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件をいう。
(保存地区の決定)
第3条 市長は、本市の区域内に所在する伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)を決定することができる。
2 市長は、保存地区を決定しようとするときは、あらかじめ、豊田市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、保存地区を決定しようとする場合において必要があると認めるときは、住民等の意見を反映させるために公聴会の開催その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、保存地区を決定したときは、その名称及び区域を告示しなければならない。
5 保存地区の決定は、前項の規定による告示があった日から、その効力を生ずる。
(保存地区の決定の取消し)
第4条 市長は、保存地区が保存地区としての価値を失った場合その他特別の事由がある場合は、保存地区の決定を取り消すことができる。
(保存計画)
第5条 市長は、保存地区を決定したときは、豊田市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に係る基本計画に関する事項
(2) 伝統的建造物及び環境物件の決定に関する事項
(3) 建造物の保存整備計画に関する事項
(4) 建造物及び環境物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項
3 市長は、保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 市長は、保存計画を変更しようとするときは、あらかじめ、豊田市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴かなければならない。
5 第3項の規定は、保存計画を変更する場合について準用する。
(現状変更行為の規制)
第6条 保存地区内において次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。
(1) 建造物の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建造物の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石の類の採取
(6) 水面の埋立て又は干拓
(7) 前各号に掲げるもののほか、保存地区の保存に影響を及ぼすおそれのある行為として規則で定める行為
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 次に掲げる建造物(建築物以外の工作物に限る。以下この号において同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却
ア 仮設の建造物
イ 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する建造物で地下に設けるもの
(3) 次に掲げる木竹の伐採
ア 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採
イ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ウ 森林病害虫等の防除のための木竹の伐採
エ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採
オ 仮植した木竹の伐採
(4) 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
(5) 愛知県公安委員会が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為
(6) 農林漁業を営むために行う行為。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 建造物(第2号アに掲げるものを除く。)の新築、改築、増築、移転又は除却
イ 用排水施設又は幅員が2メートルを超える農道若しくは路肩部分及び屈曲部又は待避所として必要な拡幅部分を除く部分の幅員が3メートルを超える林道の設置
ウ 宅地の造成又は土地の開墾
エ 森林の択伐又は皆伐(林業を営むために行うものを除く。)
3 市長は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。
(許可の基準)
第7条 市長は、次に掲げる基準に適合しないものについては、前条第1項の許可をしてはならない。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における移築を含む。以下この号及び第5号において同じ。)については、移転後の当該伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建造物の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 伝統的建造物以外の建造物の移転については、移転後の当該建造物の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 伝統的建造物以外の建造物の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に掲げるもののほか、当該行為後の建造物又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。
(1) 河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項に規定する河川又は同法第100条第1項の規定により指定された河川の改良工事の施行又は管理に係る行為
(2) 砂防法(明治30年法律第29号)による砂防工事の施行又は砂防設備の管理(同法に規定する事項が準用されるものを含む。)に係る行為
(3) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)による急傾斜地崩壊防止工事の施行に係る行為
(4) 森林法(昭和26年法律第249号)第41条第3項に規定する保安施設事業の施行に係る行為
(5) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)に規定する林地荒廃防止施設の災害復旧事業の施行に係る行為
(6) 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)に規定する林地荒廃防止施設の災害復旧事業の施行に係る行為
(7) 道路法(昭和27年法律第180号)による道路(高速自動車国道及び自動車専用道路を除く。)の改築(小規模の拡幅、舗装、勾配の緩和、線形の改良その他道路の現状に著しい変更を及ぼさないものに限る。)、維持、修繕又は災害復旧に係る行為
(8) 信号機等道路交通の安全のため必要な施設の設置又は管理に係る行為
(9) 自然公園法(昭和32年法律第161号)による公園事業又は愛知県立自然公園のこれに相当する事業の執行に係る行為
(10) 法第27条第1項の規定により指定された重要文化財、法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財、法第92条第1項に規定する埋蔵文化財又は法第109条第1項の規定により指定され、若しくは法第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物の保存に係る行為
(11) 郵便差出箱の設置又は管理に係る行為
(12) 国又は地方公共団体が行う通信業務の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為
(13) 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)による電気通信事業の用に供する線路又は空中線系(その支持物を含む。)及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為
(14) 公衆電話施設の設置又は管理に係る行為
(15) 有線テレビジョン放送(有線電気通信設備を用いて行われる放送法(昭和25年法律第132号)第2条第18号に規定するテレビジョン放送をいう。)の用に供する線路若しくは空中線系(その支持物を含む。)の設置又は管理に係る行為
(16) 電気事業法(昭和39年法律第170号)による電気事業の用に供する電気工作物の設置(発電の用に供する電気工作物の設置を除く。)又は管理に係る行為
(17) 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業若しくは水道用水供給事業若しくは工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)による工業用水道事業の用に供する施設又は下水道法(昭和33年法律第79号)による下水道の排水管若しくはこれを補完するため設けられるポンプ施設の設置又は管理に係る行為
(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(2) 第6条第3項の規定により許可に付した条件に違反している者
(3) 詐欺その他不正な手段により、第6条第1項の許可を受けた者
(4) 前3号に掲げる者のほか、この条例の規定又はこれに基づく処分に違反している者
2 市長は、前項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、豊田市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴き、かつ、当該処分の名あて人となるべき者について豊田市行政手続条例(平成9年条例第1号)の定めるところにより、聴聞を行わなければならない。
(経費の補助等)
第11条 市長は、建造物及び環境物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該建造物及び当該環境物件の所有者等に対しその経費の一部を補助することができる。
(豊田市伝統的建造物群保存地区保存審議会の設置等)
第12条 市長は、保存地区の保存等に関する重要事項について調査審議させるため、豊田市伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)を置く。
3 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
4 特別な事項を調査審議するために必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
5 委員及び臨時委員は、学識経験者、関係行政機関の職員、関係地域を代表する者等のうちから、市長が委嘱する。
6 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
7 前項本文の規定にかかわらず、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
8 臨時委員は、特別な事項に関する調査審議の終了と同時に解任されるものとする。
9 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
10 委員及び臨時委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(委任)
第13条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
(罰則)
第14条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(2) 第10条第1項の規定による命令に違反した者
附則
この条例は、平成22年10月1日から施行する。
附則(平成23年9月29日条例第34号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和元年12月24日条例第57号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
11 この条例の施行前に附則第2項から前項までの規定による改正前のそれぞれの条例の規定により教育委員会がした許可その他の行為は、改正後のそれぞれの条例の相当規定に基づいて市長がした許可その他の行為とみなす。