○豊田市山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する条例

令和3年12月28日

条例第38号

私たちのまちは、矢作川流域でつながる都市と山村が共存する多様な魅力にあふれるまちです。

山村は、豊かな自然を有しており、私たちは自然に生かされるとともに、脈々と継承されてきた自然と調和した人の営みなど、その様々な価値を暮らしに生かしてきました。

戦後の高度経済成長期を経て、山村から都市への人や物の集中が進みましたが、近年では環境意識の高まり、デジタル化など社会環境の変化により、自然豊かな山村への関心が高まるなど山村に係る多様な価値観及び生活様式が生まれています。

例えば、森林や田畑を守ること、生業なりわいを創ることや継承すること、祭りや文化を通して地域とつながること、自然の中で子育てをすること、週末に農園や森に通うこと、米や野菜などの地域の農産物を使うこと、先進技術を融合させた暮らしをすることなどが挙げられます。

私たちは、山村の価値を守り、生かし、分かち合い、その価値を次の世代につなぐため、山村に愛着と誇りを持ちながら日々の暮らしを楽しむとともに、自然と人、暮らしと事業者等、都市と山村がつながり、支え合うことにより、共働の取組として環境、経済及び社会が循環する持続的なまちづくりを推進することを決意し、ここに豊田市山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生について、基本方針、市の責務などを明らかにし、関連する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、山村の価値を生かした暮らしを市民が実践し、次の世代につなぐことを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。

(1) 山村の価値 次に掲げるものをいいます。

 山村における森林、田畑、川、空気、水、生き物などからなる自然環境

 に掲げる自然環境の下、継承されてきた景観、人と人とのつながり、営みなど

 及びに掲げるものから感じられる幸せ

(2) 山村地域 旭地区、足助地区、稲武地区、小原地区及び下山地区の区域をいいます。

(3) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する個人及び市内において事業又は活動を行う個人又は法人その他の団体をいいます。

(4) 山村住民 山村地域に居住する個人及び山村地域において事業又は活動を行う個人又は法人その他の団体をいいます。

(5) 事業者等 山村地域において事業又は活動を行う個人又は法人その他の団体をいいます。

(基本方針)

第3条 山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に当たっては、次に掲げる事項を基本方針とします。

(1) 山村の価値が市民にとって豊かな暮らしの礎であることを理解し、次の世代につなぐこと。

(2) 山村に係る多様な価値観及び生活様式並びに都市と山村の多様な関わり方を尊重すること。

(3) 年齢や性別を問わない多様な主体と共働による地域づくりを推進し、その担い手となる人材を育成すること。

(4) 山村住民の自治を尊重しつつ、山村地域の各地域又は都市と山村が互いにつながり、支え合うこと。

(5) 自然環境との調和を基本とし、地域資源を生かした地域内の経済循環を高めること。

(市の責務)

第4条 市は、山村住民の自治を尊重しつつ、共働によるまちづくりを推進するものとします。

2 市は、市民に対し、山村の価値が豊かな暮らしの礎であることについて、理解が深まるよう周知するものとします。

3 市は、都市と山村の交流を促進するものとします。

4 市は、山村地域における安全かつ安心な暮らしを維持するため、その基盤づくりを担うものとします。

5 市は、山村地域の暮らしの土台となる事業者等の事業又は活動を支えるものとします。

(市民の役割)

第5条 市民は、山村の価値が豊かな暮らしの礎であることを理解するものとします。

2 市民は、山村の価値を知ること、見ること又は体験することにより、これを学ぶよう努めるものとします。

3 市民は、前2項の規定を理解し、又は学んだことを生かし、共働により山村を守り、山村の価値を暮らしに生かすよう努めるものとします。

4 市民は、都市と山村が互いに交流し、支え合うよう努めるものとします。

(山村住民の役割)

第6条 山村住民は、前条に定めるもののほか、地域に愛着と誇りを持ち、山村の価値を次の世代につなぐよう努めるものとします。

2 山村住民は、山村地域内の空き家、農地及び森林が地域の共有財産であることを認識し、放置しないよう努めるものとします。

3 山村住民は、山村に係る多様な価値観及び生活様式並びに都市と山村の多様な関わり方を認め、山村地域へ移住する者や当該地域に関わる者を受け入れるように努めるものとします。

(事業者等の役割)

第7条 事業者等は、前2条に定めるもののほか、地域経済の活性化、防災や減災、景観維持などのまちづくりに係る役割を担い、山村地域の暮らしを支えるよう努めるものとします。

(計画の策定及び施策の推進)

第8条 市は、基本方針にのっとり、山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する計画を策定し、総合的かつ計画的に施策を推進するものとします。

2 市は、前項の施策の推進に当たっては、山村地域の現況や地理的特性を考慮するとともに、先進技術を生かしながら行うものとします。

3 第1項の計画は、必要に応じて、その内容を見直すものとします。

4 市は、山村地域に準ずる山地や森林などの自然環境及び小規模集落を有する地域に関し、第1項の計画に準じて施策を推進するものとします。

5 市は、山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する施策を総合的に推進するため、体制の整備に努めるものとします。

(実施状況の公表)

第9条 市は、山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する施策の実施状況について、公表するものとします。

この条例は、令和4年1月1日から施行します。

豊田市山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する条例

令和3年12月28日 条例第38号

(令和4年1月1日施行)