○豊田市消防通信規程
令和7年3月31日
消防本部訓令第1号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 消防通信の原則(第3条・第4条)
第3章 消防通信の管理(第5条~第9条)
第4章 災害通報の受付及び出動指令(第10条~第12条)
第5章 有線通信(第13条~第17条)
第6章 無線通信(第18条~第24条)
第7章 支援情報(第25条~第27条)
第8章 保守等(第28条~第32条)
第9章 補則(第33条~第35条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、火災、救急その他の災害(以下「災害」という。)への対応その他の消防業務を迅速かつ的確に処理するため、消防通信の適正な運用及び管理について必要な事項を定めるものとする。
(1) 消防通信 災害通報、出動指令、情報通信、業務連絡その他消防業務に関する通信の総称であり、その内容は、別表第1に掲げるとおりとする。
(2) 指令管制 消防通信により、消防隊及び救急隊(以下「消防隊等」という。)の運用を管制することをいう。
(3) 指令室 消防本部庁舎内に設置し、指令管制を行う施設をいう。
(4) 指令員 主に指令室において指令管制に従事する職員をいう。
(5) 消防指令システム 災害通報の受付、災害場所の特定、出動指令、消防車両の運用管理その他の指令管制業務を一括して円滑に行い得る機能を有し、関連するシステムと連携の上、消防業務を支援するシステムをいう。
(6) 通信指令設備 有線設備及び無線設備、情報通信機器その他これらに附属する消防通信を行うための設備及び機器をいう。
(7) 車両運用端末装置 出動指令等を受信するため、又は消防車両の位置及び状況(以下「動態」という。)を送信するために消防車両に搭載する装置をいう。
(8) 無線局 電波法(昭和25年法律第131号)第2条第5号に規定するもので、別表第2に掲げるものをいう。
(9) 無線統制 無線通信の混信及び輻輳を防止するため、無線通信の制限又は使用する周波数の変更を行うことをいう。
第2章 消防通信の原則
(職員の責務及び遵守事項)
第3条 職員は、相互に連携し、消防指令システム及び通信指令設備(以下「消防指令システム等」という。)の機能を十分に発揮させることにより、効率的な消防業務を行うよう努めなければならない。
2 職員は、電波法、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)その他の関係法令を遵守しなければならない。
3 職員は、消防通信を簡潔明瞭に行い、粗野な言語を用いてはならない。
4 職員は、業務中知り得た情報及び秘密を漏らしてはならない。
5 職員は、消防指令システム等を消防業務以外の目的で使用してはならない。
(消防通信の優先順位)
第4条 消防通信の優先順位は、災害に係る緊急かつ重要な通信を優先し、原則として次に掲げる順序によるものとする。
(1) 災害通報
(2) 出動指令
(3) 情報通信
(4) 業務連絡
(5) その他消防業務に関する通信
第3章 消防通信の管理
(通信管理者)
第5条 消防指令システム等の適正な管理及び運用を確保するため、消防本部に消防指令システム等の管理責任者(以下「通信管理者」という。)を置く。
2 通信管理者は、消防長をもって充てる。
3 通信管理者は、消防指令システム等の管理及び運用に関する事務を統括する。
4 通信管理者は、無線従事者の選任及び解任並びに適切な配置を行う。
(指令課長の責務)
第6条 指令課長は、通信管理者の指示を受け、次に掲げる事務を所掌する。
(1) 電波法その他関係法令の規定に基づく監督
(2) 消防指令システム等の管理及び更新
(3) 気象情報の収集及び伝達
(4) 無線従事者の現況の把握
(5) 指令員その他の消防通信を行う者に対する教育
(6) 消防通信に関する関係書類の管理
(7) その他通信管理者が必要と認める事務
(所属長の責務)
第7条 所属長は、所属職員を監督し、通信指令設備の適正な管理及び運用に努めなければならない。
(無線従事者の報告等)
第8条 所属長は、無線従事者の資格に関して、次のいずれかに該当するときは、速やかに指令課長に報告するものとする。
(1) 所属職員が無線従事者の免許を受けたとき。
(2) 無線従事者の免許を受けていた所属職員が退職したとき又は免許を取り消されたとき。
(3) 無線従事者の免許を受けている所属職員の氏名が変更したとき。
2 指令課長は、前項の報告を受けたときは、電波法第51条の規定により選任又は解任の手続を行わなければならない。
(無線従事者の責務)
第9条 無線従事者は、無線通信に関する知識及び技能の向上に努めるとともに、無線設備を効率的かつ適正に運用するものとする。
2 無線従事者は、自局に対する通信妨害を認めたときは必要な措置を講ずるとともに、速やかに指令課長に報告しなければならない。
第4章 災害通報の受付及び出動指令
(災害通報の受付等)
第10条 指令員は、災害通報を受け付けたときは、災害場所、災害種別、災害の規模、傷病者の状況その他必要な事項を迅速かつ的確に把握するよう努めるものとする。
2 指令員は、災害通報の受付時に必要と認める場合は、通報者に対して応急手当、消火、延焼の防止、人命の救助その他の対応の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(出動指令)
第11条 指令員は、災害通報を受け付けたときであって、消防隊等の出動が必要と判断したときは、直ちに消防署、分署及び出張所(以下「消防署所」という。)並びに消防隊等に対し出動指令を発信しなければならない。
(消防隊等の状況の掌握)
第12条 所属長は、所属職員に車両運用端末装置等を操作させ、動態の登録を適切に行わせるとともに、その状況を掌握するよう努めなければならない。
第5章 有線通信
(署所端末装置の取扱い)
第13条 職員は、署所端末装置(出動指令の拡声、肉声放送、呼出機能等の機能を有するものをいう。)の取扱いを適切に行うものとする。
(遠隔制御器の取扱い)
第14条 職員は、遠隔制御器(無線回線制御装置と有線で接続され、送受話器からの操作により無線周波数及び基地局を指定することができるものをいう。)の取扱いを適切に行うものとする。
(補助電話機又は非常用電話機の活用)
第15条 指令員は、多数の通報を同時に受け付ける必要が生じた場合にあっては補助電話機、通信指令設備に障害が発生し災害通報を受け付けることができない場合にあっては非常用電話機を活用するものとする。
(駆け付け通報装置による通報への対応)
第16条 指令員は、駆け付け通報装置(消防署所に設置した専用電話であって、受話器を上げる行為等により夜間、職員不在時等においても指令員へ災害通報ができるものをいう。)による通報に適切に対応するものとする。
(有線電話機の使用)
第17条 職員は、加入者回線と接続した電話機を、原則として情報通信、業務連絡その他消防業務に関する通信に使用するものとする。
第6章 無線通信
(無線局の位置及び区分)
第18条 無線局の位置並びに呼出名称、識別信号及び周波数の指定区分は、消防長が別に定めるものとする。
2 2波以上の周波数を有する移動局は、当該移動局の位置、状況又は対応中の災害種別に応じて指定された周波数を使用して通信するものとする。ただし、第22条の無線統制を行う場合は、この限りでない。
(無線局の開局及び閉局)
第19条 無線局の開局及び閉局は、次に掲げるところにより行うものとする。
(1) 基地局及び卓上型移動局は、常時開局しておかなければならない。
(2) 車載型移動局及び携帯型移動局は、原則として出動又は出向するときに開局し、帰署したときに閉局するものとする。
(3) 消防署所の職員は、消防業務のため車載型移動局及び携帯型移動局による通信ができない地域に滞在する場合は、その旨を指令室に連絡するとともに、当該移動局によるもの以外の連絡方法を明らかにしておかなければならない。
(聴取及び即応の義務)
第20条 職員は、開局中の無線局の通信を常に聴取し、自局の呼出に即応するよう努めなければならない。
(無線局運用の原則)
第21条 無線局の運用は、次に掲げるところにより行うものとする。
(1) 無線局は、あらかじめ定められた目的、通信相手及び移動範囲を超えて運用してはならない。
(2) 無線局は、常に最良の状態に調整し、他局が交信中でないことを確かめてから通信しなければならない。
(3) 前2号に規定するもののほか、無線局の運用については、消防長が別に定めるものによる。
(無線統制)
第22条 指令課長は、次に掲げる場合に消防救急デジタル無線に対する無線統制を行うことができる。
(1) 現場活動において無線通信が混信するおそれがあると認めたとき。
(2) 指令室において無線通信が輻輳するおそれがあると認めたとき。
(3) その他無線通信を円滑に運用するため必要があると判断したとき。
2 現場指揮者は、無線通信の状況により必要があると認めたときは、指令課長に消防救急デジタル無線に対する無線統制を求めることができる。
3 現場指揮者又は小隊長は、第1項各号に掲げる場合に署活動用無線局の統制を指示することができる。
4 無線統制は、その必要がなくなったと認めたときに直ちに解除するものとする。
(電波の区分等)
第23条 無線局において使用する電波は、防災相互波、統制波、主運用波、活動波、署活動波等とし、それぞれの内容及び周波数帯は、消防長が別に定めるところによる。
2 署活動用無線局その他機器相互が基地局を介さず直接電波を送受信する無線機の取扱いについては、消防長が別に定めるところによる。
(その他の無線通信機器)
第24条 携帯電話端末その他携帯電話回線を使用する通信機器は、原則として情報通信、業務連絡その他消防業務に関する通信に使用するものとする。
第7章 支援情報
(気象等の情報)
第25条 指令課長は、高度情報通信ネットワーク(県、市町村、防災関係機関等を結び、気象情報、地震情報、河川情報、災害情報等の通信を行うシステムをいう。)、気象情報収集装置(災害活動の支援情報として活用する気象情報を自動で観測し、表示及び記録する装置をいう。)等により入手した気象情報が、消防業務又は消防法(昭和23年法律第186号)第22条第3項に規定する火災に関する警報の発令に必要であると判断した場合は、関係する所属へ速やかに情報提供するものとする。
(災害又は武力攻撃事態等の情報)
第26条 指令課長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第44条第6項の緊急消防援助隊に係る知事の指示、協定に基づく応援要請又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第112号)第44条第1項の警報を入手した場合は、速やかに関係する所属又は機関へ伝達するものとする。
(支援情報の記録及び提供)
第27条 職員は、道路、水利、防火対象物、危険物施設等に係る消防業務に影響を与える支援情報を入手したときは、消防長が別に定める方法で適切に記録しなければならない。
2 指令員は、災害対応中の消防隊等に対して、必要な支援情報を伝達するよう努めるものとする。
第8章 保守等
(保守点検)
第28条 指令課長は、消防指令システム等の円滑な稼働及び機能の維持管理のため、必要に応じて保守点検を実施するものとする。
2 所属長は、所属職員に通信指令設備のうち消防長が別に指定するものを定期的に点検させ、機能の保全に努めなければならない。
3 指令員は、定期的に試験電波の発射を行い、故障の早期発見に努めなければならない。
4 所属長は、商用電源が停止したときは速やかに非常用の電源を確保しなければならない。
(無線局の検査)
第29条 指令課長は、電波法第73条第1項の規定による検査に際して、あらかじめ必要書類等の整備を行い、適正に受検するものとする。
2 指令課長は、電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)第39条第1項の無線局結果通知書により指示を受けた場合は、同条第3項の措置及び報告をしなければならない。
(障害等の報告と措置)
第30条 所属長は、消防指令システム等に異常又は亡失を発見したときは速やかに必要な措置を講ずるとともに、指令課長に修理等の対応を依頼するものとする。
3 消防指令システム等が使用できない場合の運用は、消防長が別に定める。
(改修等の連絡)
第31条 指令課長は、消防指令システム等に影響を及ぼすおそれのある工事若しくは改修を行うとき又は消防指令システム等の機能を制限するときは、事前に関係する所属長に連絡するものとする。
(設置等)
第32条 指令課長は、消防指令システム等の機能等を考慮し、その設置、交換、廃止等(以下「設置等」という。)をあらかじめ通信管理者へ具申するものとする。
2 指令課長は、消防指令システム等の効果的な設置等を行うため、消防指令システム等の高度化に係る情報の収集及び機能の検討を継続的に行うものとする。
第9章 補則
(通信記録の保存及び報告)
第33条 指令課長は、消防通信に係る事務を適切に処理するため、通信記録を保存しなければならない。ただし、指令課長が認める場合は、この限りでない。
(無線局に関する書類)
第34条 指令課長は、無線局免許状、免許の申請に係る添付書類の写しその他の無線局に関する書類を指令室又は免許状に記載された常置場所に備えておかなければならない。
(委任)
第35条 この規程に定めるもののほか、消防通信の取扱いについて必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この規程は、令和7年4月1日から施行する。
別表第1(第2条関係)
消防通信の種類 | 定義 |
災害通報 | 災害が発生し、又は発生するおそれがあると認められる場合に、当該災害について消防本部へ通報される通信 |
出動指令 | 指令室から消防署所又は消防隊等に対し、災害場所、災害情報等の出動に関する指令を行う通信 |
情報通信 | 災害活動に従事する消防隊等相互間で、又は指令室及び災害活動に従事する消防隊等との間で行う災害の状況、活動内容又は支援情報の伝達に関する通信 |
業務連絡 | 指令室、消防署所又は消防隊等から必要に応じて、災害に関する情報を警察機関、電気事業者、ガス事業者、関係官公庁その他関係機関へ連絡し、又は必要な情報の提供を求めるために行う通信 |
その他消防業務に関する通信 | 災害対応以外の消防業務に関し、指令室、消防署所又は消防隊等の間で行う通信 |
別表第2(第2条関係)
種別 | 定義 |
基地局 | 陸上移動局と通信を行うため陸上に開設する移動しない無線局をいう。 |
陸上移動局 | 陸上を移動中又はその特定しない地点に停止して運用する無線局で、車載型、携帯型、可搬型、卓上型及び署活動用の各移動局を総称するものをいう。 |
車載型移動局 | 陸上移動局のうち、消防車両に搭載するものをいう。 |
携帯型移動局 | 陸上移動局のうち、携帯型の無線局で、基地局及び陸上移動局と通信できるものをいう。 |
可搬型移動局 | 陸上移動局のうち、不感地帯等から感度が保持できる場所まで持ち運びが可能なもので、携帯型移動局に比べて送信出力が大きいものをいう。 |
卓上型移動局 | 陸上移動局のうち、消防署所の卓上で使用するものをいう。 |
署活動用無線局 | 陸上移動局のうち、400メガヘルツ帯の周波数を使用する携帯型の無線局で、基地局を介さず機器相互間で通信するものをいう。 |
携帯局 | 陸上、海上又は上空の一又は二以上にわたり携帯して移動中又はその特定しない地点に停止中運用する陸上移動局を除く無線局をいう。 |